今日のテーマは、相続不動産の売却後の「譲渡所得税」についてお話しいたします。
今回の内容は、不動産売却の税金についての基礎知識となります。
不動産売却時の税金とは
まず、不動産を売却すると、その利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」がかかります。
利益とは、不動産を購入した時と売却した時の価格の差額のことになります。
つまり、儲けが出た時だけ、税金がかかるということになります。
これが大前提です。
不動産売却の税率
不動産を売却すると必ず税金がかかる?と割と多くの方が思っているようです。
また、不動産の売却代金にまるまる税金がかかる?と思っている方もいます。
ここで注意しておくことは、その不動産を所有していた期間によって税率が変わるということです。
- ●5年以内の売却の場合
- 30%の譲渡所得税と9%の住民税が課されます。
- ●5年を超える場合
- 15%の譲渡所得税と5%の住民税が課される事になります。
ただし、相続した不動産には被相続人(亡くなった方)が所有していた期間も加味されることになります。
例えば、親が購入して住んでいた期間も含めて5年を超えていればいいので、私どもにご相談いただくケースの多くは、合わせて20%(15%+5%)の税率で申告できることが多いです。
※2037年までは復興特別所得税が加わり以下のようになります。
5年以内の場合は合わせて39.63%
5年超の場合は合わせて20.315%
税金の算出事例
次の2つの事例から税金の算出内容を見ていきます。
【事例①】
・売却価格:3,000万円
・親が購入した時の取得費:2,000万円
この場合の計算は、次のようになります。
3,000万円から2,000万円を引くと1,000万円となり、「1,000万円が儲け」となります。
ここに、合わせて20%の税率を掛けます。
1,000万✖️20%=200万
この、200万円が「譲渡所得税」と「住民税」になります。
【事例②】
・売却価格:3,000万円
・親が購入した時の取得費:4,000万円
この場合は、差額が「−1,000万円」で取得費の方が高くなりますので、利益は出ていないことになります。
なので、税金はかからず確定申告も必要はありません。
※この「取得費」の算出については、建物の築年数などにより価格が変動していきます。売却時の取得費・建物の減価償却費については、こちらの動画でご説明しております。
→「不動産の取得費と減価償却費を知って、譲渡所得税を理解しましょう!」
まとめ
不動産売却にかかる税金は、売った時の利益「儲け」に対してかかります。
利益が出たら、売却した翌年の3月15日までに確定申告をします。
ただし、利益が出なかった場合は確定申告の必要はありません。
また、税率を判断するための不動産所有の期間とは親が所有していた期間も含みます。
ご自身が相続してからの期間ではありません。
不動産売却というと、「幾らで売れるか」が大事になってしまう方が多いと思います。
ですが、実は譲渡所得税・その他の諸費用を含めたマイナスの支出の部分まで考える事がとても大切です。
不動産売却の際は、「実際に残る手残りは幾らになるのか」という事も含めて、専門家とご相談ください。