公開日:2022/03/07
カテゴリー:不動産の税金, 相続不動産のお悩み解決コラム, 相続不動産の売却
今日のテーマは、不動産の売却時に「購入時の売買契約書がないとどうなる?」についてお話しいたします。
不動産売却の時に売買契約書が無いと、売却の税金の計算時に不利な扱いを受けることもあります。
特に、先祖代々で保有する不動産を相続した場合など、売買契約書がどこにあるのか分からないというケースはとても多いので注意が必要です。
不動産の購入費「取得費」が分からない場合の税金算出方法
不動産の購入費「取得費」とは、譲渡所得税・住民税の計算時に、売却金額から差し引いて計算ができます。
売却金額が少ないほど、不動産売却に対しての税金額も低くなるため、取得費はとても重要になります。
取得費は、購入時に受け取った売買契約書があれば、すぐに確認が出来ます。
ですが、大昔に購入した不動産は売買契約書をすでに紛失している場合も多く、購入費を確認できないことがあります。
売却しようとする不動産の取得費が分からない場合には、概算取得費というものを用いて計算することになります。
概算取得費を用いた計算方法とは
概算取得費とは、「5%ルール」とも呼ばれていて売却代金の5%を取得費として見て良いというものです。
まず、売買契約書で取得費が確認できる際は以下の計算式となります。
- ●売買契約書があり取得費が分かる場合の税金の計算
- 不動産の売却価格―不動産の購入価格=利益(儲け)があった場合✖️20%
※20%=譲渡所得税15%+住民税5%
※今回の計算に減価償却費は加味しません
しかし取得費が確認できない場合は、この「不動産購入価格」が不明であるので、その代わりに売却金額に5%を掛けた額を取得費とみなして計算することになるのです。
■売買契約書がある場合の計算の流れ
①2,500万円で購入した不動産(取得費が2,500万円)
②3,000万円で売却
③3,000万円 – 2,500万円=500万円が利益
④500万円の利益に対して20%を掛けると100万円となり、譲渡所得税・住民税は100万円
■売買契約書が無い場合の計算の流れ
①売買契約書が無い不動産を、3,000万円で売却
②概算取得費として5%ルールを適用すると、取得費は150万円
③3,000万円 - 150万円=2,850万円が利益
④2,850万円の利益に対して20%を掛けると570万円となり、譲渡所得税・住民税が570万円
どうしても売買契約書が見つからない時は・・・
私たちにお客様からいただくご相談の中でも、売買契約書の有無によって何百万円も税金が変わってしまうケースがありました。
親世代は、不動産の購入当時の契約書類をしっかり分かるように保管しておくことが大切な終活のひとつになります。
不動産を購入した際の契約書などは必ず保管しておき、不動産相続が発生する場合に備えておきましょう。
また、購入当時の契約書類が無い場合でも諦めずに税理士にご相談ください。
その場合は、譲渡の申告の実績が多く、不動産の取引に精通している税理士に依頼されることをお勧めいたします。
購入当時の契約書が無くても、分譲マンション・分譲戸建のパンフレットなどの、価格がわかるものがあれば参考にすることが出来ます。
その他に、当時のローン借入契約書も取得費の参考資料として認められることがあります。
購入時に物件を担当した不動産会社に問い合わせをして資料を集め、不動産に詳しい税理士までご相談されてください。